虫歯の原因を解説 「甘いものはダメ」の理由は細菌の働きにあった

2019年6月20日

「甘いものを食べすぎたら虫歯になる」

メディアの影響でしょうか。こんな認識を知らずのうちに持っていたんですが、そもそもなんで甘いものを食べると虫歯になりやすいのか、理由を知らなかったんですね。

医療ライターとして取材する中で、疑問が解消されました。2017年8月29日までに取材した歯科医師は123人。折に触れて虫歯になる原因やそのメカニズムを聞いてきたので、この記事にまとめます。

虫歯になる仕組みがわかると面白いですよ。ぼくは歯に対する関心が高まりました。


虫歯とは

虫歯とは、口の中の細菌の働きによって歯が溶かされる病気です。歯学的には齲歯(うし)やカリエス(ドイツ語)と言います。

歯の硬い組織が、口腔内の細菌の作用による食べかすの発酵で溶解し、破壊される状態。また、その歯。虫食い歯。齲歯(うし) ―デジタル大辞泉

虫歯は歯周病と並んで歯科における二大疾患で、歯がなくなる原因としても歯周病に次いで高い割合を示しています。

厚労省によると、2005年に全国2000余りの歯科医院で行われた調査結果で、歯が失われる原因の割合としては歯周病が最も高くて42%、虫歯が次いで32%だったことがわかっています。

虫歯の原因「ミュータンス菌」とは

虫歯はなぜできてしまうのか。

先述の通り、細菌の働きが大きく関係しています。ぼくたちの口の中にはたくさんの細菌が住んでいて、日本臨床歯周病学会によると、数はおよそ300~500種類と言われています。

その中に虫歯の発症に関わる細菌も複数いて、「ミュータンス菌」が代表されるものとして挙げられます。球状の細菌で、大きさはおよそ1㎛(マイクロメートル、1000分の1㎜)。

ミュータンス菌は生まれたての赤ちゃんの口の中にはいません。大人が口をつけたスプーンや箸などで赤ちゃんにものを食べさせることで感染します。多くの場合、2歳ごろまでに母親から移ると言われています。

ミュータンス菌vs唾液

さて、ここからが興味深いのですが、ミュータンス菌にはある独特の働きがあります。それは、糖分を取り込んで酸を出すというものです。ミュータンス菌が出す酸は歯の成分であるカルシウムやリンを溶かしてしまいます。これを脱灰(だっかい)と言います。

ただし、ミュータンス菌が酸を出したらすぐに虫歯になるかと言うとそうではありません。ぼくたちには唾液という頼もしい味方がいるからです。

唾液はミュータンス菌が出す酸を中和したり、ミュータンス菌の酸によって溶けだしたカルシウムやリンを歯に戻してくれる働き(再石灰化)を持っています。だからたとえ甘いものを食べたとしても、すぐには虫歯にならずに済んでいるんですね。

汚いものとしてイメージ付けられやすい唾液(つば)ですが、虫歯を防ぐ働きがあることを知ると印象が変わります。

そんな風に唾液は虫歯になるのを防いでくれているわけですが、唾液の働きが追い付かないほどミュータンス菌の数が多かったり、ミュータンス菌のエサである糖分をたくさん摂っていたりすると、虫歯になりやすくなるわけです。

虫歯の発症条件は「細菌」「食習慣」「歯の質」×時間

虫歯が発症する条件は主に3つあります。これらが重なり合いながら、一定の時間が経過することで虫歯が起きてしまいます。

ミュータンス菌の数

ミュータンス菌が口の中にたくさんいると、出される酸の量が増えてしまうため、虫歯になりやすくなります。歯磨きによって細菌がたくさん潜んでいる歯垢を取り除くことでミュータンス菌の数を減らすことができます。

食習慣

糖分をたくさん摂っていると、ミュータンス菌が酸を出すためのエサが増えてしまいます。歯科医師から「糖分が多く含まれていて発症リスクを高める」ものとして聞くのが、スポーツドリンクや缶コーヒー(無糖以外)、口に長く留まりやすいアメやキャラメルなどです。

歯の質

「肌が荒れやすい」「風邪を引きやすい」といった体質があるように、虫歯になりやすい人、なりにくい人がいるそう。ミュータンス菌が出す酸への耐性が人によって違うためです。歯の再石灰化を促すフッ素を塗布することで歯の質を強くすることができます

噛み合わせの悪さも虫歯の原因に

上記が歯科医師から聞かれる主な虫歯の原因ですが、噛み合わせの大切さに言及する人もいます。

「噛み合わせが悪いと特定の歯に必要以上に力が加わってしまい、やがて歯の表面にあるエナメル質がはがれてしまいます。すると、下層にある象牙質がむき出しになってしまう。象牙質はエナメル質よりも軟らかくてミュータンス菌が出す酸に対する抵抗力が弱いので、虫歯になりやすくなってしまうんです」

 


 

虫歯が起こるメカニズムを知って、少しでも面白いと感じてくれる人がいればうれしいです。ぼくは歯科医師を取材する中で歯への関心が高まって、セルフケアも変わりました。

歯磨きを丁寧にする。鏡で口の中をチェックする。フロスを使う。食べた後は水を飲む、口をゆすぐ。舌で歯をなめて掃除をする(舌を動かすことで唾液の分泌を促す)。


虫歯を防ぐ方法や歯周病に関することもまたブログに書きますね。

参考

この記事は過去の取材の中で歯科医師が話していたことを軸に構成し、信頼性の高そうなサイトをピックアップして取材情報の裏取りと補足をしました。

厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

日本臨床歯周病学会

歯医者が教える歯のブログ

水天宮前歯科医院

歯の健康基礎知識(クリニカ)

関連記事

CMでよく見る歯磨き粉「頼らないで」 歯科医師が話す本当の虫歯予防法

【基礎からわかる】全身の健康にも影響する歯周病の予防・治療方法

良いかかりつけ医の見つけ方 医師を100人取材したライターが語る