CMでよく見る歯磨き粉「頼らないで」 歯科医師が話す本当の虫歯予防法

2019年6月20日

テレビをつけると歯磨き粉のCMがよく流れていますね。ほんとに多いと思う。

歯磨き粉は歯磨きには欠かせない、大切な物。

知らず知らずにそんなイメージを抱いていて、商品を選ぶときにはどれがいいのかと何気に悩んでしまう。歯科医師を取材するまでのぼくはそうでした。

フリーランスになってから取材した歯科医師は、2018年2月15日現在で151人。ぼくが抱いていたイメージとは違い、虫歯や歯周病を予防するために「歯磨き粉が大切」と話す歯科医師はいませんでした。

歯科医師が話す、病気を予防するために本当に大切なこととは―。


「歯磨き粉に頼らないで」と歯科医師が話す理由

取材した歯科医師全員に「虫歯や歯周病を予防するために歯磨き粉は大切ですか?」とピンポイントに質問したわけではありません。

ただ、虫歯や歯周病の予防方法をテーマに話をしてもらう際に、「歯磨き粉」という単語が出たことはないんです。むしろ、「歯磨き粉に頼らないでほしい」といった発言が散見されました。

なぜ歯磨き粉が重要ではないかというと、歯ブラシが食べかすや歯垢にちゃんと当たっていれば、歯磨き粉がなくてもそれらを取り除くことができるから。

だから、歯ブラシの当て方、その人に合った歯磨きの方法を習得することが最も大切なのだそう。

歯科医師がなぜ「歯磨き粉に頼らないで」と言うかというと、

■歯磨き粉をつけることで、口の中が泡立ち、食べかすなどの汚れがちゃんと落ちているかわかりづらくなる。

■歯磨き粉によって口の中に爽快感が漂い、「口の中がきれいになっている」と勘違いしてしまう。

こんな理由を挙げていました。

「ブラッシング方法を伝える際には、まずは歯磨き粉をつけないで磨いてもらい、その後に歯垢を赤く染め出して、自分の歯磨きでどれほど汚れが落ちているか、または落ちていないかをしっかり確認してもらっている」と話す歯科医師もいます。

歯磨き粉のフッ素が歯を丈夫にする可能性はある

その一方、虫歯予防の効果が見込める成分のフッ素が配合されている歯磨き粉については、「配合量が非常に少ないので効果は低いけど、歯の質を高められる可能性はある」そうです。

フッ素とは虫歯の原因菌の働きを弱めて、歯にカルシウムを吸収させやくする化学物質です。

歯磨き粉のパッケージに「フッ化ナトリウム」「モノフルオロリン酸ナトリウム」と表示されていれば、それはフッ素が配合された歯磨き粉であることを意味します。

歯磨き粉のフッ素を生かしたブラッシングをしたいのであれば、口のゆすぎ方に注意してほしいと歯科医師は言います。

歯磨き粉のフッ素を生かす歯磨きの仕方

■水を少量(小さじ2杯くらい)口に含み、軽く1度だけゆすぐ

■最も良いのは、歯磨き粉をつけずに歯磨きをして食べかすや歯垢を落とし、その後にフッ素を塗る意味で歯磨き粉をつけてもう一度磨く

予防はセルフケアとメンテナンスの両立が重要

では、虫歯や歯周病を防ぐために最も効果的な方法はどんなものなのでしょうか。

取材した歯科医師の意見として一致しているのが、「セルフケア+メンテナンス」。

日頃から丁寧に歯を磨いて、フロスや歯間ブラシを使う。さらに定期的に歯科医院で専門的なメンテナンスを受けるというものです。

まず歯磨きの方法については、歯科医師または歯科衛生士に自分に合った方法を教えてもらうことが大切。

磨いていると磨けているは違う」とは歯科医師がよく話すことで、知らないうちに磨き癖ができてしまうため、自分が磨けているところ、磨けていないところを把握して、どんな風に磨けば汚れの除去率が高まるかを聞いてほしいとのこと。

フロスと歯間ブラシそれぞれの特徴

次に、フロスと歯間ブラシ。

フロスとは、歯と歯が接する部分(隣接面)の汚れを取り除くことができる細い糸です。

小林製薬の商品名である「糸ようじ」として聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。

歯間ブラシは、歯と歯の間、歯と歯茎の間に詰まった汚れを取り除く道具。下のイラストを見ればイメージしやすいでしょう。

「新津田沼歯科クリニック奏の杜」ホームページより引用

オレンジの点線部分の汚れを取り出すのにはフロスが有効。青色の点線部分の汚れを取り出すのには歯間ブラシが効果的です。

ぼくも、歯科医師を取材するようになってからフロスを習慣的に使うようになりました。

フロス初心者に勧めたいのはホルダー→糸巻き

フロスには糸を固定する柄がついているホルダータイプと糸巻きタイプの2種類があります。

サイト「はじめよう!やってみよう!口腔ケア」より引用

ホルダータイプは1回使い捨てで、複数の商品が入ったものが販売されています。一方の糸巻きタイプは商品に糸を切る小さなカッターがついていて、利用者がその都度好きな長さにカットして使います。

ホルダータイプと糸巻きタイプの両方を使った経験から、コストパフォーマンスが高いのは糸巻きタイプだと感じています。より長期にわたって使うことができます。

取材した歯科衛生士の意見も同じでした。

ただ、糸巻きタイプはホルダータイプに比べて使うのが簡単ではなく、慣れが必要です。糸の両端を持って歯と歯の間に通す必要があるので、操作感覚を体得しなくてはなりません。

フロス初心者に勧めたいのは、まずはホルダータイプを使い、その後に糸巻きタイプにチャレンジすること

ホルダータイプは柄を持って歯と歯との間に入れれば良いので扱いは簡単。使ってみると、食べかすや白い歯垢が取れる取れる。

自分の口がこれほど汚れていたのか。歯ブラシだけでは十分に取れていないんだなと実感することでしょう。ぼくはそうでした。

フロスを使うことの重要さを実感したら、「じゃあ、糸巻きタイプはどうなんだろう」と好奇心が湧くのではないでしょうか。

これが逆だと、フロスのメリットを理解する前に、止めてしまう可能性があるかなと。

歯間ブラシは自分に合ったサイズを選ぼう

歯間ブラシについては、独断で商品を買わずに、まずは歯科医師にどんなものが良いかどうかを聞いた方が良いでしょう。

ぼくはまだ歯間ブラシを使ったことがないんですが、取材した歯科医師からはそう聞かれました。

というのも、歯間ブラシは歯肉と接触する可能性があるため、上記イラストの青線部分のすき間によりも大きなサイズのものを使っていると、歯間ブラシが接触したことによるダメージによって歯肉が退縮してしまうことがあるそうなのです。

逆に小さすぎるものを使っていると、汚れの除去率は落ちてしまうため、自分にあったサイズを選ぶことが大切です。

歯石は歯磨きでは取り除けない、歯科で施術を

定期的に歯科医院で専門的なメンテナンスを受けた方が良い理由には、以下のことが挙げられます。

■歯石は歯科医院でメンテナンスを受けないと取り除けない

■虫歯や歯周病を早く見つけられて、身体的・精神的・経済的な負担が軽い治療で済む

■口腔内の変化によって適切なブラッシング方法が変わるため、都度アドバイスしてもらった方が良い

■定期的にプロの目を通すことで自分の口の状態を客観視できて、セルフケアに対する意欲が高まる

歯垢(プラーク)とは歯の表面に付着した白いネバネバしたもので、口の中の細菌が食べかすなどを栄養にして増殖することで形成されます。

歯垢は時間が経つと硬い歯石に変化します。歯垢は歯磨きでも取り除けますが、歯石は自力では除去できず、歯科医院で施術を受けないと取れません

歯垢や歯石を放置しておくと、やがて虫歯や歯周病が発生してしまいます。

だからこそ、歯科医院でメンテナンスを受けることが重要。

かかりつけの歯科医を見つけて、自分に合ったセルフケアの方法を教えてもらう。それを習慣にした上で、定期的に歯科医院でメンテナンスを受ける。

これが、虫歯や歯周病を防ぐ上で最も大切だと歯科医師は口を揃えます。

参考にしてみてください。

 


 

ぼくは今、歯科のかかりつけを探しているところ。医科では良い先生に出会えたので、歯科でもいい出会いをしたいな。

医科におけるかかりつけ医の探し方はこちらに書きました。

良いかかりつけ医の見つけ方 医師を100人取材したライターが語る

関連記事

虫歯の原因を解説 「甘いものはダメ」の理由は細菌の働きにあった

【基礎からわかる】全身の健康にも影響する歯周病の予防・治療方法