「ライターは書けなくていい」<「書ける人は貴重」 背景に編集者不在メディアの増加

2019年7月3日

「ライターは書けなくていい」

ライター業に関わったことのない人が聞いたら、びっくりするかもしれませんね。

でもこれ、記者・ライターの世界では割と耳にすることです。

編集者が文章を直してくれるから、クライアントや取材先とのコミュ力が高いとか、取材で面白いネタを引っ張ってくるとか、とにかくレスが早いとかの方が大事だと。

一般論のアンチテーゼとして印象に残りやすい考え方ですが、いやいや、やっぱ普通に書けるライター大事っしょ、これからますます貴重になるよね、というのが今回ぼくが書きたいことです。


企画から校了までライターの仕事は案外広い

「ライター」と一口に言っても、実際に行う仕事は微妙に異なります。

クラウドソーシングサービスを利用するなどして仕事を受注し、家にいながら記事を書いているライター(いわゆるWEBライター)であれば、ネットや書籍などから情報を集めたり、自分の体験を踏まえたりしながら原稿を書くことがあります。

そこに、「取材」という工程が介在しない可能性があります。

その一方、人に話を聞いて原稿を書く「取材ライター」であっても、テーマを企画したり取材対象者をピックアップしたりする段階から仕事をする人もいれば、企画と取材先の選定はクライアントが担い、ライターは取材とライティングのみ、というケースもあります。

さらに、原稿をクライアントに提出して修正依頼がなければそこで仕事が終了、の場合もあれば、取材先との原稿のすり合わせ、修正、校了までを一貫して引き受ける人もいます。

こんな風に、企画から校了までのどこからどこまでをライターが担当するかは、クライアントや案件によって変わります

ライターの仕事の範囲

•企画
•取材先の選定、アポイント
•取材
•写真撮影
原稿書き
•校正
•取材先との原稿すり合わせ→校了

↑主にこの範囲の中で、どこからどこまでを担当するかが企業・案件によって変わる

ウェブメディア増加で編集者がいないケースも増

こうしたライターの仕事の範囲の中で、ぼくがこれから重要になると思っているのが、文章力と校正力の2つです。

というのも、編集者のいないメディアが増えているから。

デジタル化が進み、書籍や新聞、雑誌といった紙媒体は時代にフィットしないものになっていますよね。

ぼくも新聞社を辞めてから新聞を読まなくなりました。

あの大きな新聞をバサリバサリと1ページずつ繰っていくのは面倒で、場所も取ります。

いろんな情報が載っている良さはあるものの、やっぱり読まない記事が圧倒的に多いわけで。

さらに、紙、つまり木=資源の無駄使いという面もある。

物質的・経済的・精神的なもったいなさを感じるわけです。

そんな風に「紙」という形は自分にも合わないんですが、一方で、メディアにおけるデスクや編集者の存在は貴重です。

なぜなら、すぐになれるものではないから。

新聞社ではキャリア20年のベテラン記者がデスクに

新聞社のデスクとは、記者が書いた記事を読み、修正して掲載できる形に整える人です。

デスク自身が手を加えながら、ときに記事の不明瞭な部分を記者に尋ねたり、記事の足りない要素に関する再取材を記者に指示したりして、完成形をめざしていきます。

ぼくは記者としてデスクの仕事ぶりを見ていたわけですが、やはり文章を見る目、書く力、整える力は新人記者と比べると雲泥の差があります。

新聞社では一般的に40歳前後でデスクになるので、記者としておよそ20年くらいのキャリアがある。

今は「マスゴミ」と揶揄されることが多く、ぼくも体育会系で理不尽な組織風土が嫌いだったので辞めましたが、デスク職の人間の、読みやすくわかりやすい文章を書く技術は高い。

文章力と校正力を培うのは簡単ではなく、時間と労力が要るわけですね。

好待遇と視野狭窄により記者はムラにこもりがち

デジタル社会を迎え、インターネットを媒体とするメディアが増えると、自然、ネットメディアを担うライターや編集者が必要になります。

そこで、人材もスムーズにネット媒体に移行しているかと言うと、そうではありません。

新聞は発行部数が落ち続けていますが、過去に得た不動産による収入が下支えとなっていることなどもあり、まだまだ社員の待遇は良いです。

ぼくがいた新聞社でも、30代で年収が700~800万、40歳を過ぎると1千万を超えます。

そんな状況で、給料が半減するであろうネットメディアに移る人はまだ少数。

ネットでのマネタイズが今後もできなければ、紙の部数が上がることはもうないでしょうから、人員削減とともに給料も緩やかに下がっていくでしょう。

でも今はまだ、その二歩手前くらいのイメージ。

それに、新聞業界はムラ社会で、中にいると業界の正義が染みついて視野が狭くなり、時代を捉えることが難しくなります。

ぼくが在籍していた6年前当時なんて、ツイッターのアカウントを持っている人すらほとんどいませんでしたから。

危機感を覚えながらも、とりあえず働いている人が一定数いるのではないでしょうか。

実際にぼくが新聞社で働いていた当時もそんな人は複数いました。

書けるライターがさらに重宝されるように?

ネットメディアではまだ人材のバランスが整っていないというのが、ぼくがフリーライターとして仕事をしてきた中での持論。

紙の出版社の方が編集力が高く、ネットメディアは編集力が低い、またはない傾向にあります(あくまでもぼくの経験に基づくものです)。

仮にネットメディアに加わる優秀な編集者やデスクが増え、彼ら彼女らが起点になって後任が育っていくとしても、あと5~10年はかかるのではないか。

だからこそ、これから求められるフリーライターは、取材を通して面白いネタを引っ張れることに加え、ちゃんと書ける、きれいに文章を整えられる、さらに誤字脱字も少ないといった人になる。

紙の出版社ばかりだったころは、素材が良ければ編集者がきれいに手直しをしてくれていたので、コミュニケーション力が高いとか、取材力が高いとかいったことで済んでいた。

しかも、文章がちょっと荒い方が編集者も自分の存在意義を感じられる。

「ライターは書けなくてもいい」と言われていた所以です。

でも、ネットメディア、特に新たに立ち上がったメディアにとって重宝されるのは、校正までのプロセスの一つひとつの精度が高いライターになるでしょう。

 


 

それって、パーフェクトヒューマンやん。

書きながら自分にそう突っ込んでいました。

企画ができ、取材が良くて、記事も読みやすく、さらに、誤字脱字も少ない。

真も撮れる。ブログやSNSで情報を発信していてライター個人としてのブランドもある。

ちょっとこれは現実的じゃないんですが、ぼくが言いたかったのは「ライターは書けなくていい」なんて言われるけど、そうじゃないこともあるよね。

ちゃんと書けてミスの少ない堅実なライターはやっぱり貴重よね、ということ。

実際にぼくの場合、記事掲載後にクライアントの校正の不備や改善点などをそれとなく伝えたら、とても喜ばれたことがありました。

1、ライターは文章のうまい人がいい(一般的なイメージ)

2、ライターは書けなくてもいい(一般の人にとって意外な業界あるある)

3、いやいや、やっぱり書ける人は重要。編集者のおらんメディア増えとるし(ぼくの視点)

フリーライターをしていると2の情報を目にすることが多く、それは1のアンチテーゼとして面白いんですが、アンチテーゼのアンチテーゼとして3の視点を伝えたかったので、書きました。

ちょっと強引な感があり、文章の運びに甘さがあることを自分でも感じますが。。

フリーライターやライターの仕事に興味がある人の参考になればうれしいです。

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