ライターの取材力を高める方法の一つは「書かれていないこと」に着目すること

2019年6月15日

「活字離れ」なんて言われてますが、むしろ逆じゃないでしょうか、今の時代。

確かに紙を通して文章を読むケースは減りましたけど、今はスマホなどのデジタル端末で手軽に文章を読めます。

ネットニュース、ブログ、フェイスブック、ツイッター。インスタも写真の下に記載されている文章を読みますよね。

加えて、スマホで雑誌や漫画の文章を読むことも増えている。

「活字離れ」は新聞や本、雑誌を発行する会社本位の言葉であって、正確には「紙離れ」だとぼくは思う。

活字離れと言うことで、人々の危機感を煽り、紙媒体の購読を促そうとする企業の思惑もあるかもしれません。

文章を読む機会はむしろ増えていると思うので、文章を読み解く力の必要性はますます高まるのではないでしょうか。

そこで今回は、文章の読解力を高めるために知ってほしいことを書きます。

それは、「書かれていないことに着目し、その背景を想像すること」です。

ライターが取材力を高めるためにも意識しておいた方がいいことだと思います。


書き手が知られたくないから書かない場合もある

文章を読むとき。

書かれていることの中から重要な箇所をピックアップして記憶に留めることは大切です。

と同時に、書かれていないこと、または書かれていることの中における書かれていないことが何かを考え、心に留めることも同じくらい大切です。

なぜなら、書かれていないことは書き手があえて書かなかったことである可能性があり、それは書き手にとって知られたくない部分であるかもしれないからです。

ライターをしているぼくの仕事に引きつけて書きますね。

例えば開業医を取材する際に、その医師が運営するクリニックのホームページを読むわけですが、まれに医師のキャリアが書かれていないケースがあります。

今は医師も情報を公開している人が多く、書いていないのは時代の流れに逆行しているようにも思える。

患者の窓口となるホームページですから単に書き忘れたことは想像しにくい。

4月までに194人の医師を取材したぼくであればこう考えます。

一般の人にキャリアを知られたくないのかな? そうであれば勤務医時代に外科を専門にしていた可能性があるな。それか、医師としてのキャリアが短いか。

また、歯科医師を取材するための準備をしている時に、その歯科医師が別のインタビューに「医療系に興味があり、歯科医師になった」と答えていた場合。

医療「系」と表現していて、具体的な職種を書いていないのはなぜかな。医師をめざしていたけど医学部の試験には通らなかったから、歯学部に進んだのかな。

こんな風に想像を巡らせます。

上の2つとも、書かなかった理由はさておき、想像通りである場合はあります。

クリニックでは、医師は入院を要する手術ができません。外科医は手術を主に行ってきた人ですから、自分の武器を生かすことができないわけです。

問診や触診、聴診などを通した診断や、薬物療法を行ってきた経験は内科医より少ないことが多い。

と、ここまで書きましたが、ぼくは何も、外科あがりの開業医全員が、内科出身の開業医に劣ると言いたいのではありません。

外科出身でも、下肢静脈瘤の日帰り手術などを専門に行うクリニックを開いていたり、コミュニケーション力が高く、患者は相談しやすいだろうなと思ったりする人もいます。

そもそも、開業医は高度な医療を行う「名医」である必要はなく、患者の悩みに寄り添い、必要に応じて適切な医療への道筋をつくる「良医」をめざすべき。

ぼくが言いたいのは、外科を専門にする開業医が一般目線を気にしてキャリアを公開していないことはある、ということです。

フリーライター庄部が印象操作をしようとしている例

ぼくにも同じことが言えます。

例えばブログのトップページに記載しているプロフィール。

「出版社と新聞社で7年間、記者の仕事に携わり」とありますが、出版社と新聞社の名前やそれぞれで働いた年数の内訳は書いていません。

プロフィールを長ったらしくしないためですが、別の理由もあるんですね。

「出版社」というのは、詳しくは「タウンニュース社」というタウン誌を発行している会社で、タウンニュースという媒体はフリーペーパーでもあります。

「新聞社」は九州を拠点にする西日本新聞社。

タウンニュース社に5年、西日本新聞社に2年いました。

さて、どうでしょうか。

こんな風に具体的に書かれると、また印象が違ってくるかもしれませんよね。

タウン誌よりも新聞社の方が格上だと思っている人であれば、「新聞社での経験はわずか2年」、という印象が強くなる可能性がある。

また「出版社」に対して、書店に並ぶ本や有名雑誌を発行する会社をイメージしている人であれば、「なんだタウン誌か」と格落ち感を抱く人もいるかも。

ぼくはそれぞれの会社で働いてきて良かったと思いますし、確実にフリーランスとしての今の自分に生きています。

でも、名前や数字に対する印象は人によって違いますから、トップページでは「ぼんやりと良さげな印象」を持たれるように、こう表現しているわけです。

年数にしても、記者経験でくくって5と2を足し、「7」と表現する方がインパクトがあります。

その上で、ぼくに興味を持ってくれた人は、トップページヘッダーの「記事掲載媒体の一覧」で実績を確認できます。

そのページにはぼくの詳しいプロフィールも載せています。

書かれていないことが、人間臭い魅力になり得る

こんな風に書き手は、何を書いて書かないかを、または書くとしてどう表現するかを、その人自身やその人が所属する企業などとの価値観と照らし合わせながら検討しているわけです。

「客観的に書く」などと記者やライターがスタンスを語っていることがありますが、100%客観的に書くことなんてできません

何を書き、何を書かないかと考えている時点で、それは主観的な作業だからです。

少なからず書き手の考えは文章に反映されます。

その上で、「書かない」と結論付けた部分が、実は書き手の人間臭いところだったり、はたから見れば魅力だったりすることもあるわけで。

例えば取材中に医師が外科出身であることがわかり、キャリアのことが話題に上った時に、こんな面白い話を聞けたことがあります。

「俺がいた病院はある外科の分野でとても優秀な医師が揃っているところだったんだけど、俺はその人たちには遠く及ばなかったんだよ。

全国から患者を呼べるほどじゃなかった。

先輩はよく『患者の命を預かる外科医に二流は要らない』と言っていたね。だから(病院を)辞めた」

華やかで、ある程度のお金を持ち、人からの尊敬を得やすいイメージを持たれがちな医師という職業。

でも実際の現場では、医師は大きなプレッシャーの中で働いていて、また、外科に関して言えば、医師の技術の拙劣が命を損ねてしまうこともある。

「手術の結果で体に大きな機能障害が残ってなお、自分に頭を下げて帰っていく患者さんとその家族の背中を見て、心が折れてしまった」

「組織内の権力争いに疲れた…」

医師としての転機についてこんな風に自分の胸の内を語ってくれた人もいました。

ぼくはこういった話を聞いたときに、ぐっと来ます。

壁にぶつかったり、何かに敗れたりした経験をその人が自ら大っぴらに書くことは少ない。

でも、こうした経験が、人としての魅力を深めたんだろうと推察されることはよくあるんですね。

ぼくも新聞社を辞めた理由はネガティブなもので、警察記者の仕事がつらく、逃げるように環境を変えたというのが実際のところ。

書かれていることを鵜呑みにせず、疑いの目を持つこと

文章というのは基本的に利己的なもので、書き手が印象操作をしようとしがちなものであるとぼくは考えています。

記者・ライターをしてきた職業柄、過敏に反応しやすい側面があることは否めませんが、それでも、書かれていることを鵜呑みにするのは危険だと言いたい。

書かれていて自分に役立つことは取り入れつつ、疑いの目を持って妄信しないことが大切です。

そして、書かれていないことにこそ、書き手の繊細な気持ちや人間臭い魅力、どろどろとした感情、欠点や弱点が隠されているのです。

その部分に取材でうまく触れることができれば、取材の深度が格段に増すこともあります

「会社員ライターになりたい」「ライターとして転職したい」

「まずは会社員としてライターになって経験を積みたい」

そんな人は、マスコミ求人に特化した宣伝会議グループの転職エージェント「マスメディアン」の利用をお勧めします。

ぼくもこちらの会社を利用して内定を得ました。

体験記はこちら。

【現役ライター体験談】ライター志望者に勧めたい転職会社「マスメディアン」レビュー

「ライターとして手っ取り早く経験を積みたい」

そんな人は、「仕事を依頼したい人」と「仕事をしたい人」をインターネット上でつなぐクラウドソーシングサービスの利用をお勧めします。

副業としてライターの仕事をしたい人にも有効で、ぼくも会社員時代から独立1年目まで利用していました。

体験記はこちら。

ライター初心者が手っ取り早く経験を積める求人サイト3選【クラウドソーシングサービス】

関連記事

食えるフリーライターになる方法 元記者・現役フリーが実体験を踏まえ語る

フリーの取材ライターが営業せずに仕事を獲得し続けるブログ術【経験談】

ライター募集案件がわかる求人サイトまとめ【現役フリーランス推奨】