ライターとして成長したい人は企画から携わる仕事を始めた方がいい【経験談】

2019年3月2日

「ライターとしてもっと成長したい」「できることを増やしたい」

ライターの仕事が好きな人の中には、こんなことを思いながら試行錯誤していたり、既存の仕事に縛られてモヤモヤしていたりする人が多いのではないでしょうか。

「成長なんて関係ない。そこそこ稼げればいい」と思う人もいるかもしれませんが、紙媒体が減る一方、クラウドソーシングサービスの普及に伴ってウェブライターが爆発的に増えるなか、フリーライターとして経済的に自立していくためには継続的なスキルアップが欠かせないと思います。

そもそも、ライターとしてできることを増やしたり、できることのクオリティを上げたりしてライターとしての価値を高めないと、市場的な価値(報酬)も上がらないことが多いですし。

そこで、ライターとしての成長を望む人にぼくが勧めたいのが、企画から全ての工程に携わることです。

企画を立てるとはどういうことか。企画から携わるとどんな成長が見込めて、どんなメリットがあるのか。紹介していきます。


編集者の要望と読者・自分の関心をすり合わせる

「企画」って、何だかすごくクリエイティブなことのように聞こえませんか? ぼくもいまだにそんなイメージをちょっと持ってるんですけど、でもあまり大仰に構えなくていいと思う。

むしろ、積み木を積んでいくような作業の連続だとぼくは捉えています。

「読者があっと驚く面白い企画を立てるんだ!」

そんな心意気は大事だと思うんですけど、独りよがりになってしまっては意味がなくて。

その企画は編集者が求めているものか、読者層とマッチしているのかを考えることがまず大切ですよね。

例えば医療の媒体で言うと、胃がんや大腸がんを予防する方法が一般の人には参考になっても、医師には既知のことで面白いとは思われない。

逆に、患者を集める方法が一般の人には関心がなくても、開業医や開業医になる可能性のある勤務医にとっては興味のあることだったりするわけで。

なので、まずは①編集者が求めていることを把握して、②媒体の読者にとって関心の高そうなことを想像する。

せっかく企画を立てるのであれば自分が取材を楽しめるものにした方がいいので、①と②の上で、③自分の関心事と擦り合わせていく

例えば、医師が読者のメーンである媒体との仕事で、ぼくはある病気で体が不自由になった医師を取材する企画を立てました。

テーマは「病気を診る医師が病気になったとき、何を思いどうするか」。

医師は自分と同じ職業の医師に興味がある人が多くて、さらに日常的に病気を抱える患者と接してはいるものの「自分が(重い)病気になったらどうなのか」と考えている人が多いのではないかと思ったんです。

それに、取材相手の先生はぼくが過去にインタビューしたことのある人なんですが、その時にいい先生だなあ、また会いたいなあと思ったので自分の希望ともマッチする。

「病気になったことが医師としての転機だった」とも過去に話していたから、掘り下げていけば読者である医師の参考になる話も聞けるはず、とも。

定番そうなことも媒体や切り口によって立派なネタに

企画を立てる上で、新聞や雑誌、ウェブメディア、ツイッターなどをチェックして世間の関心事を把握することは欠かせないと思いますが、その一方で、あまりに取り上げられているものだと「今さらなあ…」なんて尻込みしそうになってしまいますよね。

でも、切り口次第では立派なネタになりますし、そもそも自分が知っていてメディアでよく取り上げられている情報であっても、身近な周囲の人は案外知らなかったりするものです。

例えば、胃がんの原因はピロリ菌で、ピロリ菌に感染していれば除菌することで胃がんはほぼ防げる、というのが医療従事者や健康に関心の高い人には知られたことですが、会社員時代の先輩や友だち4人に聞いてみたら皆知らなかったんですよね。「ピロリ菌…。聞いたことはあるけど」程度。

ですから、このテーマはまだまだ読者層によっては掲載する価値があると思って書きました。

ただ、読者の中には「ピロリ菌を除菌すればいい」こと自体は知っている人もいるだろうと思い、その記事では除菌までの具体的な流れと費用感も書きました。

ピロリ菌に感染しているかどうかは血液・呼気・尿・便検査などによってわかるけど、検査と除菌を安価に受けるためには内視鏡検査を受ける必要がある。

なぜなら、内視鏡検査しか健康保険が適用されないから。ピロリ菌に感染していたら抗菌薬などを1週間にわたって飲む必要がある云々、といったことです。

ライターが企画から携わることで成長できる理由

企画から携わるとなぜ成長できるのか。ぼくの経験を基にその理由を紹介していきますね。

情報収集力が高まる

企画を立てないと仕事が始まらない、つまり報酬も得られない状況になると、否が応でもネタを集めないといけないようになるので、結果的に情報への感度や情報収集力が高まります。

ぼくは独立してからあまりニュースを見なくなったんですけど、今は医療をテーマにしたニュースや記事を少なくとも1日に1度はチェックしています。

何らかのテーマに関する情報を集中的に集めたいときは、ヤフーニュースアプリのテーマ設定機能やキュレーションアプリ「カメリオ」がとても役立ちますよ。

この2つを利用することで、新聞や雑誌のウェブニュース、ウェブメディアの記事だけではなく、公的機関や病院、団体などのリリースも網羅できるのでお勧めです。

考える力がつく

よく考えるようになる、のも挙げられますね。

会社で記者をしていた時はネタ取りから原稿提出まで全て1人でやっていたんですが、フリーになってからはネタ取りに関することを全然考えなくなったんです。

というのも、仕事のほとんどが企画ありきのもので、案件によって程度の差はありますが、少なくともテーマ自体は決まっていたから。

テーマは決まっていてもそこから面白い情報を引き出すのはぼくの仕事で、これは簡単なことではないので企画ありきでも十分に楽しめます。

でも、企画ありきの仕事ばかりだと、考える総量が少ないんですよね。

「読者はどんなことに興味があるんだろう」「自分がいま関心のあることは? どんなことに問題意識を持ってる?」「過去に取材した人の中で特に印象深かった人は?」「取材の中であの人が言ってたこと、深堀りすれば1本書けるんじゃないか」「季節に絡めて何か書けないか」「常識や定説になっていることを検証するのはどうか。案外根拠がなかったりして」

企画から携わると少なくともこんなことをいつも考えるようになるので、考える力がつきます。考える力がつくと、企画力や取材時における質問力も上がります。

スケジュール管理力が高まる

企画は立った、編集者からOKも出た。

ここまででも楽ではないんですが、ここからは実務的な労力も必要になってきます。

取材先へのアポ取りと取材相手との原稿のやり取りが控えてるから。

取材OKがもらえないかもしれない、先方が希望した取材日に既に予定が入ってるかもしれない、忙しくてなかなか原稿をチェックしてもらえないかもしれない、編集者に伝えた入稿予定日に間に合わないかもしれない…

こんなことが予想されるわけで、これらのリスクを減らすために細かい工夫を一つひとつ凝らしていく必要があるんです。

媒体の特徴を伝えて取材を受けるメリットを取材依頼書に書いておくとか、「あなたにぜひ話を聞かせてほしい」「あなたの話はきっと読者のためになる」と熱意を伝えるとか、取材を終えた後に今後のスケジュール感をしっかり話すとか、ドタキャンを避けるために取材日が近づいたときに念のためメールを入れるとか、不安要素が強い場合に事前に編集者にその内容を伝えておくとか。

企画やアポ取り、取材先との原稿のやり取りをクライアントがやってくれる案件であれば、ライターは受け身でいいですよね。

その案件を受けたいと思えば受ければいいし、原稿を送った後は関わらなくていいし。

でも、企画から全部やるとなると、自分のことに引き付けつつ、取材相手の気持ちをより考えつつ、「連絡をしてから取材日までに2週間、取材してから書き終えるまで1週間、そして先方がチェックしてくれるまで1週間だとして…」などと逆算しながら全体的なスケジューリングをする必要がある。

編集者に共感できるように

情報を集めて、自分の頭で考えて、全体的な舵取りをするようになれば、自ずと編集者の気持ちもわかるようになります

一緒に仕事をするパートナーに共感できるようになるのはでかい。

ぼくは独立してから3年目の今年(2018年)から企画に携わるようになったんですが、その前後では編集者との会話も違ってますもん。

面白かった医師や成功した企画のことを話し合ったり、スムーズに進みやすいアポ取りや取材相手との原稿のやり取りの方法、どうやってネタを集めているか聞いたり。

「取材先の原稿チェックが遅いと焦りますよねえ」「そんなときどうやって相手に配慮しつつ促してます?」とか。

話が弾みますし、結果的にこういった雑談から企画の着想が浮かんだり、いい人を紹介してもらえたりもします

編集者の中には、取材して記事を書くに終始するプレイヤー型のライターよりは、企画してアポ取りなんかの雑務もしてる、全体がわかるライターと組みたいと思う人もいるのではないでしょうか。

取材先との関係も深くなる

取材先とのつながりが強くなるのもライターとしてはうれしいことですね。

ぼくが企画からやってる仕事の場合、取材と撮影も1人で行いますから、編集者が同席したり原稿のやり取りを行ったりするケースよりも取材相手とコミュニケーションをとる機会が格段に増えます

クライアントがアポ取りと原稿のやり取りを行う場合、取材相手にとって責任者はあくまでも編集者であり、ライターの存在感は薄いんですよね。

でも、企画から全てやる場合はそれが逆になるわけです。

「丁寧に取材してくれてありがとね」「いい原稿だったよ」「きょうコンビニで(紙面を)買ったわ」「OK、何か他にネタがあれば伝える」

こういったやり取りが自然に生まれます。

取材相手とのつながりが強くなれば、将来的に面白いことが起きる可能性も上がると思うんですよね。

実際に、過去に取材した医師がぼくのブログに登場してくれる予定もありますし。クライアントワークに縛られない展開を考えやすくなります

頑張れば報酬が増える

最後にお金のことも。

クライアントから制限が設けられていない場合、企画して取材すればするほど報酬は増えます

ぼくが企画からの案件を受けてる会社は2社あって、うち1社は「記事は多いほどいい」という見解なので、報酬を調整しやすいわけです。

企画ありきの案件だと、依頼が来るのを待つしかないわけですよね。でも企画から携わるということは自ら仕事をつくれるわけで、この差はフリーランスとしては大きい

現実的には他社の仕事もあるので、1本3、4千字の原稿4,5本くらいが限界かなあと思いますが、頑張れば報酬を上げられるのは精神的にいいですよね。

企画からやるのは楽じゃない! けど変化できるよ

つらつらと書いてきましたが、正直に言って、企画からやるのは楽じゃないです。

取材を依頼したのに1週間経っても返事が来ない、あげく断られる。原稿確認の期日までに取材相手がチェックしてくれないこともざらにあります。そもそもせっかく考えた企画が通らないこともありますし。

気をもむことは圧倒的に増えます

でも、不安やリスクがあるから人は考えようとするんじゃないでしょうか。どうすれば不安を和らげられるか、リスクを回避できるかって。

楽なポジションで仕事を続けていても成長しないですし、きっと飽きると思うんですよね。

気をもみながら、不安を感じながらもそれを乗り越えたときはうれしいですし、自分の頭で考えて手に入れた経験則って必ず他の機会に生かすことができます

ライターとして成長したい人は、企画から全部やるのは本当におすすめ(ただ上に挙げたような労力が必要だから、どれほどの報酬であれば経済的にメリットがあるかは考える必要がある)。

ぼくもさらに変化を続けていきたいです。

「会社員ライターになりたい」「ライターとして転職したい」

そんな人は、マスコミ求人に特化した宣伝会議グループの転職エージェント「マスメディアン」の利用をお勧めします。

ぼくもこちらの会社を利用して内定を得ました。

体験記はこちら。

【現役ライター体験談】ライター志望者に勧めたい転職会社「マスメディアン」レビュー

関連記事

食えるフリーライターになる方法 元記者・現役フリーが実体験を踏まえ語る

フリーの取材ライターが営業せずに仕事を獲得し続けるブログ術【経験談】

ライター募集案件がわかる求人サイトまとめ【2018年版・現役フリーランス推奨】