医療ライターが胃の経鼻内視鏡検査を体験【流れやつらさ、注意点まで徹底レポート】

2019年5月5日

取材で度々あがる「胃カメラ」「胃の内視鏡検査」の言葉。

医師から折に触れて聞くけれども、患者として実際に受けるとどうなのか? と思い、2018年12月18日に体験してきました。

今回はぼくの体感を通して胃の内視鏡検査をレポートします。

「胃の内視鏡検査を受けるとどんな病気の有無を確かめられるの?」
「検査の流れや所要時間、費用について知りたい」
「自分の体に管を入れるの怖そう…痛い? つらい?」
「どんなところで検査を受けたらいいの?」

こんな疑問をお持ちの方はぜひ読んでみてください。

今回の記事は長くて1万文字ほどあるので、知りたいことが限定している人はまずは目次をクリックして該当の項目を読んでもらえるとストレスが少なくていいかと思います。

それと、最後の項目の「経鼻内視鏡検査の結果は?」の中にはぼくの胃の写真を載せていて、まあ、それなりにグロいので嫌な方は見ないでくださいね。


胃の内視鏡検査とは わかる病気の一覧も

胃の内視鏡検査とは、口または鼻からカメラ付きの細い管を入れて、食道や胃、十二指腸(胃と小腸をつなぐ器官)の中を観察するものです。

方法は、①口から管を入れる経口内視鏡、②鎮静剤を体に注入して行う経口内視鏡、③鼻から管を入れる経鼻内視鏡―の3つあって、ぼくが今回体験したのは経鼻内視鏡です。

なぜ経鼻内視鏡を選んだかというと、「経口内視鏡とは違って吐き気(嘔吐反射)を催す心配がないから楽に受けられる」と消化器内科医が取材の場で口々に話すから。

本当に楽なのかを確かめたかったのと、鎮静剤を使っての経口内視鏡だと意識レベルが低くなって検査中の体感をレポートできなくなってしまうので、経鼻内視鏡を希望しました。

胃の内視鏡検査によってわかる病気は以下の通りです。

・胃炎
・胃潰瘍
・胃がん
・逆流性食道炎
・バレット食道(逆流性食道炎が続くことで起こる病気。食道がんの原因になる)
・食道がん
・十二指腸潰瘍

胃の内視鏡検査ってそんなに大事? 受ける必要性は

胃の内視鏡検査ってそんなに大事なの? そもそも受ける必要ってあるの? そう疑問に思う人もいると思います。

ぼくの答えは「胃がんで死にたくない人はイエス」。

なぜなら、過去に取材した複数の消化器内科医(お腹の病気を診る医師)によると、胃がんの原因の9割以上は胃に感染するピロリ菌で、ピロリ菌を除菌すれば胃がんはほぼ防げるらしいから。

そして、ピロリ菌がいるかどうかを確かめる検査と、感染していた場合の除菌治療を健康保険を使って受けたい場合、必ず最初に胃の内視鏡検査を受ける必要があるからです。

このあたりのことは「胃がんで死なない方法」と題した動画をユーチューブにあげているので参考にしてみてください。

下のことがざっくり5分ほどでわかる作りになっています。

・胃がんは日本人がかかりやすく、死ぬ可能性もまだ高い病気
・ピロリ菌が胃がんを起こすメカニズム
・検査と除菌の流れ、費用感
・ピロリ菌感染率は年齢とともに上昇
・除菌しても万全じゃない。除菌後の注意点
・除菌で胃潰瘍や十二指腸潰瘍も防げる

体験取材に協力してくれたのはこの先生

今回の体験取材に協力してくれたのは「さきたに内科・内視鏡クリニック」(千葉県習志野市)の崎谷康佑(こうすけ)院長と看護師の方々

崎谷先生はぼくが過去に2度取材をさせてもらった消化器内科医で、胃の内視鏡検査の経験が豊富

しかも、勤務医時代にピロリ菌による発がんメカニズムを研究していて、胃がんとピロリ菌の関係についても詳しい

さらに、崎谷先生はメールのレスが早くてしかも丁寧なんですよ。

医師って忙しいからか、患者第一でそれ以外は後回しにしがちだからなのか、メールでスムーズにコミュニケーションを取れる人って少ないんです。

崎谷先生はレスが早いだけではなく、メールでも詳しくわかりやすく答えてくれるので、検査を終えた後に疑問が浮かんだ場合にもいろいろ聞きやすいだろうと思いました。

胃の経鼻内視鏡検査を終えての率直な感想

さて、人生で初めて胃の内視鏡検査を受けたわけですが、結論としては、つらかったです。

かなり。

厳密に言うと、ぼくが言う「つらさ」は、検査そのものよりも、検査を終えて気分が悪くなり3度吐いたことを意味しているわけですが、このあたりのことは医療機関のホームページやメディアではあまり言われていないことなので、参考になるかと。

ただ、検査がつらかったことはクリニック側に起因していなくて、むしろ先生や看護師の方々の対応は素晴らしく、感動を覚えることもありました。

この経験からどんなクリニックで胃の内視鏡検査を受けた方がいいのか自分なりに考えたので、それも後ろに書きますね。

胃の内視鏡検査にかかる時間と費用感

検査自体は長くかかるものじゃありません。

ぼくの場合は9分でした(レコーダーで録音していた)。過去の取材経験からも「10分、15分で終わるもの」と理解しておいていいでしょう。

ぼくのように気分が悪くならなかった場合は、診療室への入室からクリニックを後にするまで50分から1時間をみておけばいいと思います(待ち時間を除く)。

崎谷先生によると、費用は3割負担の人の場合、内視鏡による観察だけで約6千円、ピロリ菌の検査と除菌を含めると1万5千円~1万8千円

検査までに守っておくべきことは?

ぼくが胃の内視鏡検査を受けたのは冒頭に書いた通り2018年12月18日。午後4時に予約を取りました。

検査を受けるときには医師が観察しやすいよう、胃の中を空っぽにしておかないといけないので、以下のことを守る必要がありました。

・検査当日の朝食は午前8時ごろまでに軽めに済ませておく
・昼食は食べない
・朝食後も水、お茶、スポーツドリンクはOK
・なお、前日の夕食は普通に食べて良い

ぼくの場合は取材がしやすいよう、「クリニックが混みづらい午後の時間にしましょう」と先生が配慮してくれて、夕方近くの時間帯に設定したわけですが、基本的には絶食の時間が短くて済むように午前中に予約を取ることが多いようです。

午前に検査を受ける場合に患者が守っておきべきことは

・前日の午後7時までに夕食を済ませる
・朝食は食べない
・水、お茶、スポーツドリンクは検査直前まで飲んでOK

ステップ1-問診

さあ、胃の内視鏡検査を体験してみましょう。

まずは診察室で先生から問診を受けます。

本来は検査日以前になされることですが、今回ぼくは先生にメールでアポイントを取ったので、この工程も検査当日に行いました。

お腹の手術を受けたことはあるか? 日頃から飲んでいる薬はあるか? 家族や親族の中に胃がんや大腸がんになった人はいるか? といった質問を受けつつ、検査時の注意点を聞くとともに同意書にサインしました。

経鼻内視鏡検査における主な注意点は以下の通りです。

・検査中に臓器を傷つけてしまうことで、出血や穿孔(せんこう・穴が空くこと)を起こしてしまう可能性がゼロではない(崎谷先生は過去に1万件ほど胃の内視鏡検査を行っているそうですが、こうしたことはまだ起きていないそう)。

鼻腔(鼻の穴の中)が狭い人の場合、ときどき鼻血が出ることがある。割合的には10人に1人程度。また、痛みが起きることもある

ステップ2-事前処置[血管収縮剤の点鼻など]

問診と同意書の記入を終えた後、看護師から事前処置を行ってもらいました。

まずは、胃の中をよく観察できるようにするため、胃の中にある泡を消す薬(消泡剤)をカップ1杯分飲みます

塩気の利いたポカリスウェットのような味で、飲むのに抵抗感はありませんでした。

次に、鼻の通りを良くして出血しづらくするために、鼻腔の血管を収縮させる薬を鼻から入れてもらいます。両方の穴に3回ずつプッシュ。

口の方にも液体が流れ込んで来たのでこれはちょっと気持ち悪かったですね。口に流れた液体は飲み込んでもいいし、吐き出してもいいとのこと。

診察室に入ってからここまでにかかった時間はおよそ15分(ぼくの場合は事前説明や同意書の記入を検査当日に行ったため、本来であれば10分くらいだと思う)。

ステップ3-事前処置[部分麻酔]

診察室を移動して、靴やバッグ、上着をロッカーに入れた後、検査室へ。

崎谷先生に部分麻酔をしてもらいます。

使うのは「キシロカイン」と呼ばれる薬で、歯科治療で使われる麻酔薬と同じとのこと。

先ほどの血管収縮剤と同じように口の方にも薬が流れて来るんですが、これが苦い。しかも鼻に水が入ったときのようにツンとする(このツンとした感じは検査を終えた後も数時間続いて気持ち悪かった)

そして、検査直前に先生と看護師の方に注意されたのが、部分麻酔をした後は口の中に溜まる唾液を飲み込まないこと

口は空気と食べ物の通り道で、空気は肺に、食べ物は食道に送られるわけですが、麻酔が効いているとこの機能が通常通りに働きにくくなって、唾液を飲み込むと食道の方に行かずに肺に入り込みやすくなってしまうそう。

結果、せき込んで苦しくなり、順調に検査が行われにくくなってしまうそうなんです。

だから、唾液を出したくなったらそのまま出して、とのことでした。唾液を出しても良いよう、枕の上にシートが引かれていました。

ステップ4-検査

崎谷先生のクリニックで使っている内視鏡は世界トップシェアのオリンパス製(国内メーカー)。太さは約6㎜。

検査が始まりました。

ぼくの場合は左の穴(ぼくから見て)の方が鼻腔が広そうとのことで、こちらの方に管を入れて進めていきます。

鼻に管を入れるのって痛そうで怖かったんですよ。

鼻をほじっているときに爪でガリッと引っかいて鼻血が出たことが過去にあるんですが、あれと同じようなイメージを持っていて、管がガリッとこすれるんじゃないかと。

幸いにもそんな痛みはありませんでした

でもね、つらかった。

例えが前に挙げたものと被るんですけど、鼻に水が入ったときにツンとする感じがあるじゃないですか、あれって普通は一瞬で終わりますけど、検査時には管が鼻腔を通り過ぎるまで続いたんです。体感的には10秒くらい

苦悶の表情。

検査中は崎谷先生が進捗を教えてくれるんですが、「(管が)鼻を通り過ぎて喉まで行ってますよ」と言っていた時にも「ゔぉぉ」というぼくの苦しそうな声が録音されていました。

そして放心の表情。

管が進んで喉を通過した後は少し楽になりました。表情からもわかるのでは。

つらいなあと思いながらもありがたかったのが、ぼくの後ろに立っていた看護師の方が検査中ずっと背中をさすってくれていたことです(写真を見ればわかります)。

これ、すごい重要だなと思いました。

人肌の温もりが伝わってきて安心感が生まれますし、少し背中の方に意識がいきますからつらさが和らぐんです

そして、難しい、というかできなかったのが「話すこと」。

経鼻内視鏡のメリットとして検査中に話せることを挙げる医師がいて、崎谷先生も検査がある程度進んだ時に「普通にしゃべれますよ」と話していたんですが、ぼくは「おお」「おお」としか発せませんでした。

怖かったんですよね。

唾液は都度外に出していましたが、それでもすぐに溜まってしまうので、話すと飲み込んじゃいそうで。

そんな風に注意はしていたんですが、1度飲み込んでしまってせき込みました

苦しかった。

「経鼻内視鏡の検査中につばを飲まないこと」はすごく大事

観察も終盤です。

「胃の奥にある十二指腸に管を進めていくので押される感じがします。ここは皆さん苦しまれるところです」

崎谷先生のアナウンスの直後、確かに体の奥の方に硬い物が突っ込まれている感じがしてつらさ再び。苦悶の写真再び。

ただ、つらい時間は短かったですね。管を胃まで進めるときの方が長く感じました。

十二指腸の奥を観察し終えたところで、検査全体の半分が終わりました。検査開始から4分半。

後は楽でした。

ピロリ菌の検査をするために胃の組織を取ったんですが痛みや違和感はありませんでした。

残りの4分半はあっという間

溜まっている唾液を全て出して検査終了です。

本当のつらさは意外にも検査後に始まった…

つらいけど、我慢できないほどではないな。よし、後は検査結果を聞いて帰ろう。

そう思って立ち上がると、あれ? 立ちにくい。

頭がくらくらして、ふらついて、うまく歩けない。

少し休憩した方がいいと先生が判断して、ストレッチャータイプのベッドに乗ったままそばの休憩スペースに運ばれました。

後でこの状態を先生に聞いたところ、「おそらく迷走神経反射(めいそうしんけいはんしゃ)だろう」とのことでした。

迷走神経反射とは、大きなストレスや恐怖心、痛みなどが原因となって神経が刺激され、血圧が低下、脳の血流が減って吐き気や失神などが起きてしまう病気です。

精神的・肉体的なストレスの他に、午後の検査だったので絶食時間が長くなり脱水になりやすかったこと、取材というミッションがあったので緊張しやすかったことも要因になったのかもしれない」と先生は話していました。

確かにその日は検査までに水を一杯しか飲んでいなかったんですよ。

それに、ぼくにとってブログ用の取材は、企業から依頼されて仕事をするのと同じテンションで臨んでいるもの。気は張っていました。

状態は予想外にも徐々に悪くなっていきました。

最初は少し休んでいれば大丈夫だろうと思っていましたが、1時間後に立とうとしてもまだふらつく。

しかも気分も悪くなってきた。

我慢していましたが遂に耐えられなくなって、看護師の方を呼び、そばのトイレに駆け込んで吐きました。

この後、水分を口からとるのも難しい状態だったので点滴を打ってもらいました。

やはり脱水を起こしていたんでしょうか、体に水が入ってくるとわずかに体が軽くなった感じがしました。

それでも吐き気は治まらず、また吐きました。

点滴を2本打った後、ようやくぼそぼそと話せるくらいに回復しました。

検査結果を聞いてクリニックを後にしたのは、なんと午後8時過ぎ。

診療は午後6時までですから、2時間以上も先生や看護師の方を拘束してしまいました。

休んでいる間に申し訳ないなあと思って看護師の方に謝ると「つらいですよね。私たちのことは気にせず、自分の体のことだけ気にしていてくださいね」と温かい言葉

先生も「もう少し休んでいましょう。大丈夫、時間が経てば必ず良くなりますから

クリニックの対応をうれしく思いました。

クリニックを出た後も、先生と看護師の方はクリニックが入る商業施設の休憩スペースまで一緒に付き添ってくれました

そこで少し休み、トイレに行ってまた吐き、そして何とか家に帰り着くことができたわけです。

午後6時ごろから気分が悪くなって、平常に近い状態に戻ったのは午後10時ごろでした。

こんなに体調が悪くなったのは予想外だったので、ぼくみたいな患者が他にもいるのかと後日先生にメールで聞いたところ、経口内視鏡、鎮静剤を使った経口内視鏡、経鼻内視鏡のどれであって体調不良を訴える人はいるそう。ただ、割合的にはいずれも1割ほどとのことでした。

鎮静剤を使うと意識がぼんやりするので緊張感や痛みを感じる感覚は鈍くなり、迷走神経反射が起こる可能性も減るそうですが、一方で鎮静剤自体に気分が悪くなったり吐き気を催したりする副作用があり得るそう。

だから、体調不良が起こるリスクはどの方法でも大体同じだけど、やや鎮静剤を使った経口内視鏡の方が可能性は減るかな」とのことでした。

結論:経鼻内視鏡は果たして楽なのか?

「経口とは違って吐き気を催す心配がないから楽に受けられる」

多くの消化器内科医が経鼻内視鏡について言うことですが、これって、あくまでも経口内視鏡と比べた上での表現だな、ということが今回の体験でわかりました。

聞き手や読み手からすると、どうしても後ろにある「楽」と言う言葉が印象深く心に残ってしまうものですよね。

ぼくは経口内視鏡で検査を受けたことがないので吐き気がどれほどひどいものなのかわからないんですが、口から管を入れる検査を受けてつらい思いをした人からすれば、確かに楽なのかもしれません。

検査だけに限れば吐き気はありませんでしたし、大きな痛みもありませんでした

検査自体がすごくつらいかと言うとそうではありませんでした。

ただ、「何の違和感もない人は少ない」と崎谷先生も言っていたように、検査には少なからず負担が伴うもの。

鼻がツンとしたり、内臓が押される感じがしたり、検査中に唾液を飲み込んでせき込んだりして「嫌だな」とか「つらいな…」とか思う覚悟はした方がいいです。

検査が終わった後も部分麻酔が完全に切れるまでは口の中がピリピリするといった違和感も残ります

ぼくの場合は違和感がなくなるまで5時間くらいかかりました。

胃がんは高確率で防げる 30代までに検査を受けて

「経鼻内視鏡は楽だと医者は言うけど違う。短時間だけどつらいよ!」

ぼくは何も、医療ライターとして鬼の首を取ったかのように自分の実感を暴露したいわけじゃありません。

この記事を読んでいる人に、胃の内視鏡検査を若いうちに受けてほしくて、その前提に立った上で、知っておいてほしいことを書いているんですね。

人数としては少なくても若くして胃がんで亡くなる人はいますし、ぼくの友人も34歳で胃がんになりました

他のがんとは違って高確率で予防できる方法があって、しかも費用もそんなに高額じゃないわけですから、30代までには受けてほしい

特に身近な人には。

だから文章を読むのが面倒な人に向けて動画も作りました。

経鼻内視鏡検査を受ける前に注意したいこと

さて、今回の体験を踏まえたまとめを書いていきますね。まずは経鼻内視鏡検査を受ける前に知っておいてほしいこと。

鼻腔が狭くてできないこともある

崎谷先生に聞いたことですが、鼻腔が狭い場合、管を通そうとすると痛みが強くて行えない場合があるそうです。

特に若い小顔の女性が当てはまりやすいそう。

経鼻内視鏡検査を体験した女性の中には「管がなかなか通らなくてすごく痛かった」とブログに書いている人もいたので、経口内視鏡に切り替えないといけない可能性があることは知っておいてほしいです。

痛みがなくても抵抗感や違和感はある

たとえ痛みが起きなかったとしても、ぼくのように鼻に水が入ったときのようにツンとした感覚を覚えたり、内臓が硬い物でギュギュっと押される感じがしたり、部分麻酔のために口の中がピリピリしたりすることは覚悟しておいてほしいこと。

でも、上に挙げたことだけに限れば我慢できるつらさなので、勇気を出して検査を受けてほしいです。

特につらいのは検査開始から5分

ぼくの場合、特につらかったのは管が胃に達するまでと、胃の奥にある十二指腸に進めるときの2ヵ所でした。

観察を終えて管を体外に出そうとする検査後半は比較的に楽だったので、「つらくても5分」「5分我慢すれば胃がんを防げる可能性が上がる!」と思えば頑張りやすいのではないでしょうか。

検査中は唾液を飲み込まないこと

既に書きましたが、検査中に最も意識してほしいことです。

唾液を飲み込まないこと。

飲み込むと唾液が気管に入って苦しいので、恥ずかしいかもしれませんが、唾液がたまったら絶えず外に出すことを心がけて。

検査を受ける時間帯はなるべく午前中に

検査は午前に受けることを勧めます。

ぼくのように検査後に気分が悪くなったとしても、午前に受けていればクリニックの中で休める時間を長くすることができますし、午後に受ける場合に比べて絶食の時間が短くなるので、脱水になる恐れも減ります

崎谷先生によると、基本的には午前に検査の予約を入れることが多いそうなので、これはあえて言わなくてもいいことかもしれませんね。

食べられなくても、水は適度に飲んでおこう

今回の体験でぼくが一番「失敗したなあ」と思ったこと。

ぼくは検査当日、予約時間の午後4時まで水を1杯しか飲んでいませんでした。

点滴を打って体に水分を入れたことで少し楽になったことを考えると、緊張や検査時の不快感だけでなく、脱水状態が迷走神経反射を起こした理由の一つになったのではないかと考えています

検査を受けるに当たって食べ物を食べてはいけない時間帯は決まっていますが、水やお茶、スポーツドリンクは検査直前まで飲んでいいわけですから、適度に水分を取っておくことを勧めます

どんな医療機関で胃の内視鏡検査を受ければいいか

次は、崎谷先生のように「胃の内視鏡検査の経験が豊富な医師にやってもらう」という点以外で、どんな医療機関で胃の内視鏡検査を受けるといいか、ぼくが考えることを伝えますね。

自宅から30分以内にある

ぼくのように検査を終えた後に体調が悪くなる可能性があることを踏まえて、なるべく自宅から近い、何らかの交通手段で30分以内で行ける医療機関で検査を受けることを勧めます。

ぼくの場合、自宅から崎谷先生のクリニックまで1時間半くらいかかるので、気分が悪いまま帰るのがかなりきつかったんです。

それに、もしピロリ菌に感染していた場合は①検査前、②検査、③除菌できたかどうかの確認-といったように、少なくとも3回は医療機関に行く必要があるので、やはり近いに越したことはないでしょう。

大学病院よりはクリニック

大学病院などの大きな病院は待ち時間が長くなりやすいので、クリニックの方がお勧めです。

それに、大きな病院だと経験の少ない若い医師に当たる可能性があるので、ぼくであればリスクヘッジをする意味でも、医師として10年以上のキャリアがあり、内視鏡検査の経験も重ねてきた開業医に相談します。

ベストなのは、自宅から近くて、専門が消化器内科で内視鏡検査の経験が豊富、何度か受診して「この人は良さそうだ」と思える医師がいるクリニック。

かかりつけ医の探し方については過去に書いたので、興味のある人は最後の「関連記事」を読んでみてください。

いい看護師がいる

看護師にも注目してみてください。

「胃の内視鏡検査において看護師の存在感は大きい」というのがぼくの実感で、看護師が思いやりのある人かどうかで、内視鏡検査自体の印象も変わってくると思います。

ぼくの場合は、検査中に看護師の方がずっと背中をさすってくれて、「つらいですよね」「そうそう上手ですよ」などと検査の前から後まで優しい言葉をかけ続けてくれたおかげで気が楽になりましたし、温かい気持ちにもなりました

検査後、気分が悪くなったときにかけられた「自分のことだけ気にしてね」という言葉がどれほどうれしかったことか

それに、胃の内視鏡検査って恥ずかしいんですよ。医師や看護師に唾液や鼻水、涙を見られるから。

ぼくはゲロ(嘔吐物)まで見られましたし(でも、吐いているときも先生や看護師が背中をさすってくれていた)。

医療者からすれば慣れていてなんてことはないことなのかもしれませんが、一患者からすると「あ、やだ。恥ずかしい…」なんて思うもの。

だからこそ、やっぱり信頼している先生や看護師がいるクリニックで受けるのを勧めたい。

休憩スペースもある

鎮静剤を使って胃と大腸の内視鏡検査を行う医療機関には備わっていることが一般的ですが、休憩スペースがあるかどうかもチェックしてみてください。

鎮静剤を使わない経口内視鏡や経鼻内視鏡の検査を受ける場合にも、ぼくのように検査後に歩くこともおぼつかなくなったり、気分が悪くなったりすることが考えられますから、落ち着いて休める場所があるとなお安心ですよね。

次はどの方法で胃の内視鏡検査を受けたいか

次に胃の内視鏡検査を受けるとすれば、ぼくは鎮静剤を使った経口内視鏡を選びたいと思います。

経鼻内視鏡でも検査自体に我慢できないほどのつらさはありませんでしたが、鎮静剤を使えば意識がぼんやりして多くの場合に眠ってしまうそうなので、検査中のつらさを感じなくて済みそう

今回は検査中の体感を書くためにも経鼻内視鏡を選びましたが、事前に検査方法について崎谷先生にメールで相談した際に、崎谷先生も「鎮静剤を使っての経口が最も痛みが少ないのは間違いないと思う」と話していました

ただ、先ほども挙げたように鎮静剤を使うことで気分が悪くなったり、吐き気を催したりする副作用が起こり得るので、一時的にせよ検査後に体調が悪くなる可能性があることは頭に入れておきたいこと。

加えて、鎮静剤を使うと意識が正常に戻るまで1時間ほど医療機関で休む必要があるので、鎮静剤を使わない経口内視鏡や経鼻内視鏡の倍くらいは時間がかかるそうです。

本当は「この方法がお勧め!」って言い切りたいんですけど、難しいんですよね。

ネットで個人の体験記を読んでみると、経鼻内視鏡一つ取っても「すぐ終わって痛みもなかった」「楽だった」という意見があれば、「とても痛かった」というものもありますし、ぼくのように検査後がつらかったケースもありますし。

どの方法を選んでも体感は個人によって違うので普遍的な正解を提示することはできませんが、ぼくの経験が少しでも読んでいる人の役に立つことを願います。

経鼻内視鏡検査の結果は?

最後に、検査の結果も書いておきますね。

ぼくには、ピロリ菌はいませんでした。

検査経験が豊富な消化器内科医であれば、検査中にピロリ菌に感染しているかどうかは目視である程度予想できるそうで、ぼくの場合も「おそらくいないだろう」(崎谷先生)とのことでしたが、念のため胃の組織をとって調べてもらいました。

これは「ウレアーゼ迅速試験」と呼ばれるもの。

ピロリ菌はウレアーゼという酵素を持っていて、ウレアーゼは尿素を分解してアンモニアと二酸化炭素を作ります。

アンモニアはアルカリ性なので、この性質を利用して、尿素と、酸性やアルカリ性の度合いを調べる薬(pH指示薬)が入った液体に組織をつけて色の変化を確かめます。

その結果、ぼくには「ピロリ菌はいなかった」とのことでした。

ぼくの胃の中の写真も載せておきますね。

胃の上の方。「ピロリ菌のいないきれいな胃だとわかる」(崎谷先生)
胃の中心部分にあったポリープ(写真左側の突起状のもの)。これは「胃底腺ポリープ」と呼ばれる、きれいな胃にできやすいポリープで、あっても問題ないそう
胃底腺ポリープの拡大写真
ポリープをよく観察できるよう、青い液体をまいて調べてもらいました
咽頭(いんとう)。口腔と食道の間の部分。食道の入り口
食道と胃の接合部分
幽門(ゆうもん)。胃の出口
十二指腸。胃と小腸をつなげる器官

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